はじめに

布設して年数の経過した配水管内には、原水、浄水過程、布設工事そして塗装などに由来する様々な夾雑物が沈殿・付着している場合があります。

これらの夾雑物は、漏水事故、消火栓の使用や緊急遮断弁・制水弁等バルブの開閉などにより配水管内の流量・流向に変化が生じると、管内に沈殿・付着していたこれら夾雑物が水流の変化で舞い上がり濁水を発生させます。

安心・安全な水道水を供給し続けるためには、定期的に配水管内を調べ、夾雑物を除去していくことが必要です。夾雑物の効果的な除去方法として開発されたのが「管路リフレッシュクリーン工法」です。

洗浄工法概要

「管路リフレッシュクリーン工法」は、消火栓用T字管から管内に洗浄ヘッドを挿入し、洗浄する工法です。高圧洗浄機から高圧ホースで送られる圧力水を洗浄ヘッドからジェット噴射させることにより洗浄ヘッドのブラシ(ナイロン製)が高速回転し、一定の速度で自走しながら管内面をむらなく洗浄します。


  • 洗浄は対象区間を断水し、管内は満水状態で行います。
  • 排水時に捕集された夾雑物と、洗浄前後の管内のカメラ撮影により、洗浄確認を行います。
  • 排水は洗浄ヘッドの挿入口からも可能です。
洗浄工法概要
洗浄工法概要
洗浄工法概要
洗浄工法概要

特徴

  • 堀削・管切断は不要
  • 洗浄器具を消火栓用T字管より挿入
  • 排水洗管だけでは除去できなかった管内壁の夾雑物を除去
  • 高い施工品質を確保
  • 夜間の断水時間で洗浄が可能

【注記】消火栓・補修弁の種類によっては洗浄ヘッドを挿入できない場合があります。挿入口がない場合には、別途挿入口の設置が必要です。

適用範囲

対象口径 φ75~φ350
対象管種 ダクタイル鉄管、塩化ビニル管、鋼管
洗浄距離 挿入口より片側最大200m/1区間
除去対象 マンガン、水垢、劣化シールコート等の夾雑物

【注記】

  • φ250以上の洗浄については、ご相談願います。
  • 管路の形状によっては洗浄距離が短くなる場合があります。
  • 管内のこぶは除去できません。

洗浄手順

断水開始

STEP 01
洗浄区間の断水をします。また、給水栓も閉栓します。

消火栓撤去

STEP 02
洗浄ヘッド挿入のため、挿入側の消火栓を撤去します。

STEP 03

管内カメラ(洗浄前)

洗浄方向を確認後、挿入口より管内にカメラを挿入し、洗浄前の管内状況を確認します。

洗浄ヘッド挿入

STEP 04
挿入治具を使って洗浄ヘッドを管内に挿入します。

洗浄

STEP 05
高圧洗浄機から高圧水を洗浄ヘッドに送り込み、規定の洗浄スピードで管内洗浄を行います。

洗浄ヘッド回収

STEP 06
洗浄完了後、高圧洗浄機からの高圧水の供給を止め洗浄ヘッドを挿入側から回収します。
STEP 07

排水洗管

洗浄した管内に残った濁水を上流側のバルブを開き、消火栓から排水し、夾雑物を捕捉します。

管内カメラ(洗浄後)

STEP 08
挿入口より管内にカメラを挿入し、洗浄後の管内状況を確認します。

消火栓復旧

STEP 09
挿入側消火栓を復旧します。

通水前排水洗管

STEP 10
通水前に排水作業を行い、清水を確認します。
STEP 11

断水解除

断水を解除し、給水栓も開栓します。

 

施工例

施工例1(マンガン除去)

F事業体 洗浄例

  1. 洗浄管路:φ100塩化ビニル管
  2. 対象夾雑物:マンガン
  3. 洗浄結果(管内状況)
    洗浄手順
    施工実績

  4. 洗浄後に捕捉した夾雑物
    洗浄後に捕捉した夾雑物

施工例2(劣化シールコート除去)

T事業体 洗浄例

  1. 洗浄管路:φ100ダクタイル鉄管
  2. 対象夾雑物:劣化シールコート
  3. 洗浄結果(管内状況)
    洗浄手順
    施工実績

  4. 洗浄後に捕捉した夾雑物
    洗浄手順
    施工実績

施工タイムテーブル(標準的なもの)

施工行程

施工実績

(令和5年3月末現在)

実施事業体 対象口径 総洗浄距離
S事業体

φ100~φ250

1,210m
T事業体 φ100~φ200 54,056m
N事業体 φ100~φ200 306,207m
K事業体 φ100、φ150 199m
M事業体 φ100 230m
Y事業体 φ100 247m
S1事業体 φ75~φ150 571m
F事業体 φ100 553m
A事業体 φ150~φ250 2,287m
Ⅰ事業体 φ75 400m
M2事業体 φ150 30m
S2事業体 φ75 , φ100 3,175m
A2事業体 φ75~φ200 6,585m
K2事業体 φ75~φ250 2,322m
S3事業体 φ150 875m
Y2事業体 φ200 1,033m
K3事業体 φ75 455m
T2事業体 φ150 382m
N2事業体 φ150 165m
U事業体 φ150、φ200 1,755m
H事業体 φ300 440m
O事業体 φ100 951m
O2事業体 φ150 335m
A2事業体 φ200 1,282m
総洗浄距離 385,745m